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世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?|要約・まとめ・感想

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世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?

山口 周

(このページは2020年1月20日に更新されました)

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? はじめに

「トレンド本や名著をかいつまんで、要約・まとめを知りたい。」

「本を買う前に、実際に読んだ人の感想を知りたい。」

この記事はそんな方へ向けて書いています。

記事の作成者は、『SNS時代のリアルな居場所』として価値観を共有できるライフシフト読書会を毎週開催しております。

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世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? まとめ

従来、企業は「分析」「論理」「理性」に軸足をおいた「サイ エンス重視の意思決定」を行ってきた。

だが、今日のように 複雑で不安定な世界においては、「直感」や「感性」をもと に意思決定することが求められている。

経営学者ヘンリー・ミンツバーグによれば、経営は「アート」 (ワクワクするビジョンを生み出す)、「サイエンス」(ビジョ ンに現実的な裏付けを与える)、「クラフト」(ビジョンを現 実化するための実行力を生み出す)から成る。そして、この 3要素をバランスよく、機能的に組み合わせる必要がある。

3要素のバランスを取るには、トップに「アート型」の人材 を据え、左右を「サイエンス型」と「クラフト型」で固める。

市場のライフサイクルの変化(導入期・成長期・成熟期・衰 退期)に伴って、消費者が求めるベネフィットも変化する。

最初は「機能」を重視するが、機能の差がなくなると、その商品が「自己実現」につながるかどうかを重視するようになる。

自己実現のための消費が増えると、モノやサービスはファッシ ョン的側面で競争せざるを得なくなる。

その結果、論理と理性 に軸足をおくサイエンス主導経営は、競争力を喪失していく。

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 要約

論理的・理性的な情報処理スキルの限界

英国のロイヤルカレッジオブアート(RCA) は、修士号・博士号を授与できる世界で唯一の美術系大学院大学である。

このRCAが近年、意外なビジネスを拡大しつつある。それは「グローバル企業の幹部トレーニング」だ。

様々なエグゼクティブ向けのプログラムを用意しており、フォード、ビザなど、名だたるグローバル企業が幹部候補を参加させている。

美術系大学院に幹部候補を送り込む企業は、いったい何を求めているのか。

書名通りに問えば、 世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?

それは教養を身につけるためではない。彼らは、功利的な目的のために「美意識」を鍛えている。

なぜなら、これまでのような「分析」「論理」「理性」に軸足をおいた経営、いわば「サイエンス重視の意思決定」では、今日のように複雑で不安定 な世界においてビジネスの舵かじ取りはできない、ということをよくわかっているからだ。

「論理・理性」から「直感・感性」の時代に

経営における意思決定には、いくつかのアプローチがある。

それらを「論理と直感」、「理性と感 性」という2つの対比軸で整理してみよう。

まず、論理と直感については、「論理」が論理的に物事を積み上げて考え、結論に至るという思考、「直感」は最初から論理を飛躍して結論に至るという思考として対比される。

次に、理性と感性については、「理性」が「正しさ」や「合理性」を軸足に意思決定するのに対して、「感性」は「美しさ」や「楽しさ」が意思決定の基準となる。

ここ20年ほどを振り返ると、日本企業の大きな意思決定の大半は「論理・理性」を重視して行われている。

そのため、「『直感』や『感性』を意思決定の方法として用いている会社なんてあるのか?」と思う読者もいるかもしれない。

しかし、実はそういった例は少なくない。例え ばソニー。

同社の「会社設立の目的」の第1条には「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」とある。

平たく言えば、「面白くて愉快なことをどんどんやっていく」ということだ。

そういう目的を掲げる以上、「何をやるべきか、 やるべきでないか」という意思決定の際に準拠すべき基準は「面白いのか? 愉快なのか?」という軸、つまり「理性よりも感性」になる。

この設立趣意書をしたためたのは創業者の井深大だ。

そして、傑作商品ウォークマンは、まさに 彼の「感性」によって世に出された商品だった。

ウォークマンはもともと、井深が「海外出張の際、機内で音楽を聴くための小型・高品質のカセットプレイヤーが欲しい」と言い出し、この要望に応えて開発部門が作った特注品だった。

これを同じく創業者の盛田昭夫に見せたところ、盛田も大いに気に入り、製品化にゴーサインが出た。

だが、現場はこの指示に反発する。というのも、彼らは市場調査により、顧客が求めるのは大きなスピーカーで、ラジオ番組を録音して楽しむためにカセットプレイヤーを買うことを知ってい

たからだ。「スピーカーも録音機能も持たないカセットプレイヤーなど売れるわけがない」と、まさに 「論理的」かつ「理性的」に猛反発したわけだ。

ビジネスの意思決定における「理性と感性」という対比のうち、ウォークマンの開発は「感性」 に基づく意思決定の典型例といえるだろう。

アート、サイエンス、クラフトのバランスが大切

経営学者のヘンリー・ミンツバーグによれば、 経営というものは、「アート」と「サイエンス」 と「クラフト」の混ざり合ったものになる。 「アート」は、組織の創造性を後押しし、社会 の

展望を直感し、ステークホルダーをワクワクさ せるようなビジョンを生み出す。 「サイエンス」は、体系的な分析や評価を通じ て、アートが生み出した予想やビジョンに現実的 な裏付けを与える。

そして「クラフト」は、経験や知識を元に、アートが生み出したビジョンを現実化するための実 行力を生み出していく。 ここでポイントになるのは、これらのうちどれか「1つ」だけが突出してもダメだということだ。

「アート型」だけでは、盲目的なナルシストに 陥り、アートのためのアートを追求する、つまり 本物のアーティストになってしまう。

「クラフト型」だけでは、経験に根ざしたこと だけを認め、新しいことにはチャレンジしないため、イノベーションは停滞するだろう。

そして「サイエンス型」だけでは、数値で証明 できない取り組みは全て却下されるため、ワクワクするようなビジョンは生まれないだろう。 つまりこの3要素は、バランスよく、かつ機能 的に組み合わせなければならない、ということだ。

サイエンスとクラフトが重視される要因

上記の指摘は、言われてみれば自明のように思える。

だが多くの企業では実践できず「、クラフト」 と「サイエンス」に偏っている。

なぜか? 「アート」と、サイエンスやクラフトが論争すると、必ずサイエンスとクラフトが勝つからだ。

「何となく、これが美しいから」という理由で 主張を展開するアート側に対し、財務面などの分析結果を盾に、別の主張をするサイエンス側が戦えば、勝負は目に見えている。

アート側の敗北だ。 アート対クラフトの構図でも、結果は同じだ。

過去の実績に基づいて「それはうまくいかない」 と反論する経験豊富なクラフト側と、アート側が 戦えば、やはりアート側の敗北は目に見えている。

つまり、アートとサイエンスとクラフトを並べた場合、三者が対等な立場で戦えば、間違いなく アートが敗れる。

これが、三者のバランスが大事 だといわれながら、サイエンスとクラフトに意思 決定の重心が寄ってしまう最大の要因だ。

アートが主導し、サイエンスとクラフトが脇を固める

そうなると、これら3つの型でいかに優先順位 のバランスをとるかが、大きな問題になってくる。

この問題の解決法は1つ。トップに「アート」 を据え、左右を「サイエンス」と「クラフト」で 固め、パワーバランスを均衡させるのである。

強い企業、類 たぐい稀 まれ な革新を成し遂げた企業の多 くが、こうしたガバナンスの構造を持っている。

次々と革新的なビジョンを打ち出す弟のウォルトと、元銀行員で財務面・リーガル面で支え続け た兄のロイ。この2人によって創業されたウォル ト・ディズニー社は、その典型例といえる。

巨大な「自己実現欲求の市場」の登場

全てのビジネスはファッションビジネス化する
ここで取り上げるのは、ライフサイクルカーブ の進行に伴うベネフィットの変化である。

ライフサイクルカーブとは、市場の進化・成長 を説明する概念で、市場は導入期・成長期・成熟 期・衰退期の4ステップを経るという考え方だ。

市場のライフサイクルの変化に伴って、消費者 が求めるベネフィット=便益も変化していく。

例えば、パソコンの場合、最初は記憶容量や計 算能力などの「機能」が、商品を選ぶ際の重要な 基準だった。

しかし、やがて機能の差が小さくな ると、今度はデザインやブランドといった感性に 訴える要素が、選択の基準になってくる。

すると次に「自己実現的便益」のフェーズが訪 れる。そのブランドを選ぶことで「あなたはそう いう人なのですね」というメッセージが伝わるようなブランドを購入するようになる。

スターバックスでアップルのMacBookAirの キーボードを打っていれば、彼は「そのような人 だ」ということで周りから規定されることになる。

自己実現的便益のレッドオーシャン

消費という行動が一種の記号の交換であること を初めて指摘したのは、フランスの思想家、ジャ ン・ボードリヤールだ。

彼は、こう指摘する。 「人びとはけっしてモノ自体を消費することは ない。

―― 理想的な準拠として捉 とら えられた自己 の集団への所属を示すために、あるいはより高い 地位の集団を目指して自己の集団を抜け出すため に、人びとは自分を他者と区別する記号としてモ ノを常に操作している」 彼がこの指摘をしたのは1970年のこと。

すで にその時点で、フランスをはじめとした先進諸国では、モノの消費は自己実現のための記号の獲得という側面が強くなっていたわけだ。

ここで問題になるのが、新興国の経済成長だ。 なぜなら、新興国が成長し所得水準が高まれば、 これらの国でも「消費の記号化」という現象が起 きるからだ。

こうして全ての人が自己実現を追求 するようになると、今のグローバル市場は巨大な 「自己実現的便益のレッドオーシャン」となる。

以上の考察をまとめれば、消費は最終的に自己 実現的消費に行き着かざるを得ないということだ。

つまり、モノやサービスはファッション的側面 で競争せざるを得ない。こうした社会において、 論理と理性に軸足をおいたサイエンス主導経営 は、競争力を喪失していくことになるだろう。

システムの変化が早すぎる世界

事業が「ファッションビジネス化」しつつある 今日、美意識を持たないビジネス、そして人は厳 しい局面を迎える。この点について考察しよう。

なぜ繰り返し問題を起こすのか?

DeNAは、ここ数年の間に、2つの不祥事を起 こしている。1つは、「コンプガチャ問題」である。

コンプガチャとは、ゲームにおける課金の仕組 み。これは収益性の高い事業になったが、大金を ゲームに投じて破綻する若者が続出して社会問題 となり、消費者庁から景品表示法違反の疑いを指摘され、全ての企業がサービスを停止した。

2つ目が、キュレーションメディアの問題だ。

DeNAが運営する複数の媒体で、誤情報の記載 や他媒体の記事の無断転用が横行し、社会問題と なった。

結局、様々な方面からの批判を浴び、全てのキュレーションメディアが閉鎖された。

なぜDeNAは、こうした問題を繰り返すのか? 2つの事件は、事件に至る経緯が同じだ。

  1. まず、シロ(合法)とクロ(違法)の間のグレー ゾーンで荒稼ぎするビジネスモデルを考案する。
  2. そのうち、最初は限りなくシロに近い領域だったのが、利益を追求するうちに限りなくクロに 近い領域ヘドリフトしていく。
  3. やがて、モラル上の問題をマスコミや社会から 指摘されると、「叱られたので止 や めます」と謝 罪して事業の修正・更生を図る。

ここでポイントになるのが、共に「開始の判断 =経済性、廃止の判断=外部からの圧力」という 構造である点だ。

つまり、美意識に代表されるような内部的な規範が、全く機能していないのだ。

事業開始の意思決定にあたっては、「法律で禁 止されていない以上、別に問題はないだろう」と いうのが、彼らの判断基準になっている。

実定法主義と自然法主義

明文化されたルールだけを根拠として、判断の 正当性そのものの考察には踏み込まない

―― こうした考え方は、法学でいう実定法主義にあたる。

一方、自然や人間の本性に合致するかどうか、 その決定が「真・善・美」に則 のっとるものであるかどうかを重んじる法哲学を、自然法主義と呼ぶ。

実定法主義では、明文化されたルールが意思決 定の基準になるが、ルールの整備は社会情勢の変 化に引きずられるように、後追いで行われる。

しかし、今日のように変化が早い世の中では、 ルールの整備が社会の変化に追いつかないため、 ルールのみに依存して意思決定していると、大き な倫理上の問題を起こす可能性がある。

では、何を判断の拠 より所にするのか? 変化が 早い世界では、自然法的な考え方が重要になる。

つまり、真・善・美の基準に適 かな っているかどうか を判断する力、つまり美意識ということになる。

エリートを犯罪から守るための「美意識」

これまでの考察より、「エリートはなぜ『美意 識』を鍛えるのか?」という問いに対して、「犯 罪を犯さないため」という回答が浮上する。

彼らは、与えられた目標を達成できないという 自分を許せない。

そのため、粉飾決算などのコン プライアンス違反を犯すリスクが高い。

エリートは大きな権力を持ち、他者の人生を左右する影響力を持つ。

それゆえに「美意識に基づいた自己規範」が欠かせない。

「法律的にはギリ ギリOK」という一線とは別の、普遍的なルール で自らの能力を制御しないといけない。

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 感想

山口 周さんは、書籍「ニュータイプの時代」において、これから日本人に必要のなるスキルをわかりやすく図解してくれている。本書はその原点となる新書である。

本書では、美意識が求められるとう問こそ書かれているが、その解決を知るためには、ニュータイプの時代を合わせて読むことをお勧めする。

日本ではまだまだアート型の人材を重宝する習慣がなく、サラリーマンとして出世するには軽視してしまうスキルである。

しかし、個人で稼ぐ力を身に着けようと思った時には、この美意識こそがいま最も求められていると実感する。

例えばインスタグラムなどのインフルエンサーは必ずしも高学歴で理論がものをいう世界ではなく、皆に共感されるセンスこそ大切だ。

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? さいごに

当記事を書かせていただきました、長谷川と申します。

私は大阪、神戸、京都でライフシフトサロン読書会を開催しております。

読書会のいいところは、SNSでつながる時代に、リアルな居場所を持てるということ。

関西で生き方・働き方でつながるコミュニティを探されていらっしゃるあなたの参加をお待ちしております。

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