働き方

まとめ・要約|ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元

(このページは2020年9月28日に更新されました)

はじめに

「トレンド本や名著をかいつまんで、要約・まとめを知りたい。」

「本を買う前に、実際に読んだ人の感想を知りたい。」

この記事はそんな方へ向けて書いています。

記事の作成者は、『SNS時代のリアルな居場所』として価値観を共有できるライフシフト読書会を毎週開催しております。

関西の読書会で本の感想をアウトプットしたい方はこちら

ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元【まとめ】

香港問題や新型コロナへの対応などで、激化する米中対立。

ポストコロナの世界で覇権を目指す中国と、それに対抗するアメリカの戦略について、中国問題分析の第一人者らが解説する。

新型コロナウイルス肺炎を巡る米中の戦略は、大きく異なる。中国の戦略は、国際社会を味方に付ける上で賢明といえる。

  • トランプ大統領は、WHOが中国に忖そん度たくして警告を遅らせ、コロナを蔓まん延えんさせたと非難。拠出金の停止、脱退を示唆した。
  • 中国はコロナの震源地だが、「人類運命共同体」を強調し、コロナで苦しむ国への「医療支援外交」を展開している。

中国は、国連や国連専門機関の要職に親中派や中国人を大量に送り込み、国連を乗っ取ろうとしている。中国建国の父・毛沢東の夢、世界の中国共産主義化は着実に実現しつつある。

2020年6月、中国は、発展途上国77カ国・地域の債務返済を一時的に停止すると発表した。その大半は「一帯一路」(広域経済圏構想)沿線国だ。債務返済の猶予は、中国の地位を高め、「ポストコロナの世界新秩序」を形成するための戦略といえる。

2020年5月、アメリカは、中国が香港への統制を強化する香港国家安全法の対抗措置として、香港に対する関税などの優遇措置を廃止すると発表した。また、香港の自由を侵害した個人や組織と取引する銀行に制裁を加えることも検討している。こうした措置により、中国企業はドルの調達が困難になり、香港の地位・機能は大幅に低下すると見られる。

中国は、デジタル通貨を数年前から研究しており、世界で初めてデジタル通貨を発行する可能性がある。現在、世界の基軸通貨はドルだが、デジタル人民元が発行されれば、米ドル覇権世界は打破されるかもしれない。

ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元【要約】

ポストコロナを巡る米中覇権

2020年5月、新型コロナウイルス肺炎(以下、コロナ)のアメリカにおける感染者が160万人に迫る中、中国の新規発生者は激減した。

このコロナに関して、人類を破滅の危機に追いやっているのは中国の習近平国家主席であり、彼に忖度をしたWHO(世界保健機関)事務局長のテドロスであることは論を俟たない。

2020年1月23日、WHOは習近平のために「緊急事態宣言」を延期した。この延期は国際世論から激しい批判を受けたため、テドロスは実態を調査してから改めて決めると弁明し、1月28日に中国入りした。だが、行った先は北京であり、コロナの震源地の武漢ではなかった。現地調査をしたのではなく、習近平に会いに行ったのだ。

1月30日にようやく緊急事態宣言を発布したが、肝心の「中国への渡航と貿易を禁止する」という条件を付けず、緊急事態宣言を骨抜きにした。

テドロスはエチオピア人であり、エチオピアの最大の出資国は中国だ。そして中国は、水面下でテドロスがWHOの事務局長に当選するように動いてきた。だから、テドロスは習近平に忖度する。

その結果、ウイルスを持った中国人が全世界に散らばっていったのだから、その罪は極めて重い。

対照的な米中の戦略

トランプ大統領は、WHOを激しく非難した。WHOは中国の操り人形で、人類に早く警告すべきだったのに習近平に忖度し警告を遅らせた。その結果、全人類にコロナを蔓延させてしまったと。

一方、WHOのテドロスと習近平の方は、両者の関係を象徴するかのように、2020年5月18日に開催されたWHO年次総会(オンライン会議)で、習近平が開幕のスピーチをした。

WHOの本部はスイスにあるので、スイス大統領や国連事務総長が短い祝辞を送ったのはわかるが、3番目の習近平の長いスピーチは世界を驚かせた。なぜなら、それまでのWHO年次総会で、各国首脳が挨拶することはあまりなかったからだ。
案の定、習近平は「人類運命共同体」という自身の外交スローガンを用いて、中国がいかにコロナで苦しんでいる国々を助けているかを宣伝した。一方、トランプはテドロス宛に書簡を送り、WHOが30日以内に姿勢を改善しなければ、拠出金を停止し脱退する可能性を示唆した。

WHOを批判するのはいいが、まだコロナが蔓延している状態で拠出金を停止するというのは賢明ではない。習近平はコロナをまき散らした張本人であるにもかかわらず、「人類運命共同体」を強調し、コロナで苦しむ発展途上国に医療支援物資を送るなど、「医療支援外交」を展開している。国際社会を味方に付ける際に、どちらの戦略が賢明か(「狡猾か」と言ってもいい)は明らかだ。

国連の専門機関を牛耳る習近平

現在、国連には15の専門組織があるが、そのうち4つの専門機関の長は中国人が占めている。テドロスのような親中の人間を国連や国連専門機関の長に据えるだけでなく、中国人そのものを国連専門機関の長に就かせることによって、中国は国連を乗っ取る戦略で動いているのである。それだけではない。国連専門機関のトップ以外の要職や、関連国際組織の要職も、圧倒的な数の中国人が占拠している。

こうした人々は当然、全員「中国共産党員」である。中国建国の父・毛沢東の「世界赤化」の夢は、着実に実現しつつあるのだ。建国以来、天安門の城壁には「世界人民大団結万歳」というスローガンが掲げてある。「世界人民大団結」とは「世界を中国共産主義化していくこと」、つまり「世界赤化」である。そのために中国人を要職に就けるだけでなく、国連のグテーレス事務総長(ポルトガル人)や、IMF(国際通貨基金)のクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事(ブルガリア人)など、国連の要職を親中派で固め、国連を乗っ取ろうとしている。

習近平のマスク外交

習近平は、2020年3月10日に武漢入りし、コロナに関する事実上の「勝利宣言」をした。そして、「一帯一路(広域経済圏構想)」沿線国に医療支援部隊を派遣し、医療物資を提供し始めた。

ポストコロナを見据えた医療支援

医療の支援に当たっては、四川省は主としてイタリアを、江蘇省はパキスタンを、上海はイランを、そして広東省はイラクをというように、いくつかの省が1つの国を担当する。こういった医療支援を合計127カ国に対して行い、そのたびに、中央テレビ局CCTVは習近平がその国の首脳と電話会談を行ったことを報道した。

それらの報道に付き物なのは、相手国の首脳が習近平を「救世主」と讃える言葉をくり返し報道することである。こうして一帯一路沿線国を中心に約130カ国を総なめにしているが、それはポストコロナで対中包囲網に加わらないようにという契りを交わさせているようなものなのである。

「一帯一路」発展途上国の債務を減免

それだけではない。ポストコロナの新世界秩序形成を睨にらんで、もっと強かな戦略が動いている。2020年6月7日、中国は「新型コロナウイルス肺炎感染との闘いに関する中国行動」という白書を発表し、記者会見を開いた。この記者会見の目玉の1つは、「発展途上国77カ国・地域の債務返済を一時的に停止すること」だった。

この77カ国が「一帯一路」沿線国138カ国とどれくらい重複しているか確認したところ、65カ国が「一帯一路」沿線の発展途上国であることが判明した。これらの発展途上国が中国に対して負っている債務を帳消しにするか、返還期間を延期して猶予してあげる、というわけだ。

では、債務返済の猶予をすれば、どうなるのか。中国の「大国としての影響力」を高めることになる。これこそが、アメリカと対峙した時の、ポストコロナの国際社会における中国の地位を高めてくれるものなのである。そして、「ポストコロナの世界新秩序」を形成するための習近平の戦略であるといえよう。

ドルによる締め上げ戦略

2020年5月29日、中国が香港への統制を強化する「香港国家安全法」の対抗措置として、アメリカは香港に対する関税や渡航に対する優遇措置を廃止すると発表した。

そしてアメリカは、「中国の香港に対する義務違反に対して著しく貢献する個人や組織」と大規模な取引をする銀行に処罰を検討しているとも報じられている。つまり、香港の自由を侵害したものと取引する銀行に制裁を加えるということだ。

また、5月20日、アメリカの上院は、アメリカの株式市場に上場している外国企業が外国政府の管理下にないと断定できない場合、上場を廃止するという法案を可決した。

これは中国企業を狙い撃ちにしたもので、アメリカ資本市場における中国企業の外貨調達を困難にすると見られている。こうしたことが現実になった場合に、中国が受ける影響。それは、次のようなものだ。

【アメリカの制裁による影響】

  • 対象となった中国企業はドルの調達が困難になる。また、多くの中国企業がアメリカの資本市場から締め出されれば、世界の銀行は中国企業のドル調達能力に疑心暗鬼となる。結果的に、中国企業全体への与信供与は手控えられるようになり、中国の外貨調達が困難に陥る。
  • 外貨の調達を目的として、中国企業や個人による海外資産の換金売りが加速する。
  • 制裁を恐れ、外資系銀行は香港において米ドルの供与を控える。香港の外貨調達機能が失われるため、香港の地位・機能が大幅に低下し、さらなる景気後退を余儀なくされるだろう。
  • 香港の政治的、経済的不安で資本流出が加速すれば、香港における米ドルが減少していく。香港ドルのドルペッグ制(米ドルに対する実質上の固定相場制)廃止も現実味を帯びる。

現状のドルは、紛れもない基軸通貨である。上記のようなアメリカの制裁が加速していった場合、果たして、中国は存続し得るのであろうか。

習近平とブロックチェーン

2019年10月24日、習近平が中共中央総書記として政治局学習会で口にした「ブロックチェーン」という言葉。それは、中国では初めて出てきたものとして世界に衝撃が走った。

早くから計画されていたブロックチェーン

実は、ブロックチェーンという概念はすでに2016年3月16日に全国人民代表大会で決議された「第13次五カ年計画」に盛り込まれていた。

習近平は、2012年11月に中共中央総書記に就任した瞬間から、ハイテク国家戦略「中国製造2025」に着手し、政権スローガンを「中華民族の偉大なる復興」に据えた。このハイテク戦略を達成できれば、「新しい時代の中国経済の成長」を実現し、偉大なる復興を成し遂げられる。

デジタル人民元開発の流れ

こうしたハイテク戦略の流れの中の一環として、デジタル人民元がある。2016年1月、中国人民銀行はデジタル通貨シンポジウムを北京で開催し、早い時期にデジタル人民元を発行することになるだろうと予告した。

その中で注目されるのは、ブロックチェーンと関連付けて討論が行われていることである。研究を深めるために、2017年には「中国人民銀行デジタル通貨研究所」が設立されている。

2019年8月21日、中国共産党機関紙の「人民日報」や新華社の電子版「新華網」などが、「デジタル人民元お目見えの真相」という見出しで、華々しく報道した。そこには「ブロックチェーン」「ビッグデータ」「人工知能(AI)」といった文字が躍っていた。そして、「デジタル人民元の出現は、人民元の流通と国際化に有利だ」と結論付けられていた。

デジタル人民元を国家が発行するからには、最も優れた技術を採用するのは当然のことだろう。このような状況の中、習近平がブロックチェーンに関して発言したのは、大きな意味を持っている。ここから、中国はデジタル人民元発行に際して、ブロックチェーン技術を利用することに挑戦する可能性が高いという国家戦略が見えてくる。

デジタル人民元と米ドル覇権世界の打破

前述したように、2019年10月24日、習近平は政治局学習会を招集した。そこで彼は、「ブロックチェーンを核心的技術の自主的なイノベーションの突破口と位置付け、ブロックチェーン技術と産業イノベーション発展の推進を加速させよ」と述べた。

10月28日、中国人民銀行科技司の李偉司長は、上海で開催された「中国金融四十人フォーラム」が推し進める「バンド金融サミット」で、「ブロックチェーン技術はデジタル・イノベーション発展を推進するに当たって絶大な潜在力を持っている」と語った。

同フォーラムには中国国際経済交流センターの副理事長を務める黄奇帆が出席しており、その発言内容が「リブラ(フェイスブックの仮想通貨)が成功するとは思えない。中国人民銀行が全世界で最初にデジタル貨幣を使うことになるかもしれない」という見出しで大きく報道された。黄奇帆は、次のような爆弾発言をした。

  • 中国中央銀行はすでにデジタル通貨を5~6年にわたって研究してきた。従って最初にデジタル通貨を発行する銀行になるかもしれない。
  • 通貨のデジタル化は世界の貨幣事情を変える。アメリカが軍事と経済の実力により、石油と国際貿易のドル決済を独占し、実質的な世界通貨となったが、それがデジタル通貨(デジタル人民元)によって打破される。
  • 中国のデジタル支払い(キャッシュレス)は世界トップクラスで、2018年の支払い金額が39兆ドル(約4290兆円)であるのに対して、アメリカは1800億ドル(約8兆円)でしかない。ブロックチェーンは支払い機構と銀行を繋ぐネットワークとなり、国際間の支払いをより簡単かつ迅速化できる。

彼の発言の爆弾性は、上述した「デジタル人民元の発行によって、場合によっては米ドル覇権世界を打破することができるかもしれない」ということにある。

ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元【感想】

米中の覇権争いと聞くと“5G”を主軸としたIT戦争。その表面的な動きとして、HuaweiやTikTokの締め出しなどがニュースを賑わす。という印象しか今までなかった。

しかし、本書を読むと、米中の覇権争いは、5Gに限らず、国連、WHO、一体一路など様々な領域で複雑に絡み合っていることを知った。

様々な要因に目を配り、俯瞰した視野で世の中を見渡すことで、世の中がどこに向かっていくかが推察できる良書。

さいごに

当記事を書かせていただきました、長谷川と申します。

私は大阪、神戸、京都でライフシフトサロン読書会を開催しております。

読書会のいいところは、SNSでつながる時代に、リアルな居場所を持てるということ。

関西で生き方・働き方でつながるコミュニティを探されていらっしゃるあなたの参加をお待ちしております。

ポストコロナの学び直し

社会人3年目、25歳になったあなたへ。

ちょっと想像してみてください。
今から5年後、30歳のあなたは、
どこに住んでいますか?
今と同じ仕事をしていますか?
あなたの隣には誰がいますか?

もし、20歳の時に考えた25歳の自分と今の自分が違っていたら、
きっと30歳のあなたも想像した自分と違っているかもしれません。

ライフシフトサロンHP

コメントを残す