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まとめ・要約|ポストコロナの経済学 8つの構造変化のなかで日本人はどう生きるべきか?

(このページは2020年9月8日に更新されました)

はじめに

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ポストコロナの経済学【まとめ】

戦後最悪の不況をもたらしつつある新型コロナウイルス。それは今後、世界経済に劇的な構造変化を引き起こす。

ポストコロナ時代に予想されるグローバルな構造変化を考えると以下のことが見えてくる。

新型コロナウイルス感染症が収束しても、“元の世界”は戻ってこない。

感染症の拡大とグローバリゼーションはセットであり、近年の地球環境破壊の深刻さなどを勘案すると、今後も人類は様々な感染症に悩まされ続けることになる。

ポストコロナの時代には、以下の「8つのグローバルな構造変化」が起き、世界はそれ以前と全く異なるものに変わる。

  1. 株主の利益を重視する利益至上主義から、利害関係者や環境などに目配りするステークホルダー資本主義へ移行する。
  2. 格差が拡大し、分断が進む。この結果、反グローバリズム、自国中心主義、ナショナリズム台頭のリスクが高まる。
  3. 新型コロナウイルスをめぐる米中の対立が激化することで、資本主義と共産主義の覇権争いが先鋭化する。
  4. 新型コロナショックの反省を踏まえ、平時の経済性だけでなく、感染症拡大や気候変動など様々なリスクを考慮したグローバル・サプライチェーンを再編する動きが起きる。
  5. 金融緩和が長期化し、過度な債務拡大などの不均衡が蓄積することで、金融危機が起きる危険性が高まる。
  6. 大きな政府が指向され、財政赤字が深刻化する。そして財政政策と金融政策の境目が曖昧になり、両者の融合が進む。
  7. 感染症を避けるために、リモート社会(非接触型社会)が指向されるなど、産業構造に激変が起こる。
  8. 感染症に対して脆ぜい弱じゃくな「中央集権型システム」(都市への集中)から、「分散型ネットワーク」(地方への分散)への転換が進む。

ポストコロナの経済学【要約】

ポストコロナ時代のグローバルな構造変化

新型コロナウイルス感染症が収束すれば、元の世界が戻ってくる。これは完全な幻想だ。

歴史的にみると、感染症の拡大とグローバリゼーションはセットであり、近年の地球環境破壊の深刻さなどを勘案すると、今後も人類は様々な感染症に悩まされ続けることになる。

加えて、ポストコロナの時代は、それ以前と全く異なる世の中に変わる。

以下に示す「8つのグローバルな構造変化」が起き、「新常態(ニューノーマル)」と呼ばれる新しい世界が始まるのだ。

①利益至上主義から「ステークホルダー資本主義」へ

第1の構造変化は、資本主義の転換である。

2000年代に加速した、株主の利益だけを過度に重視する「グローバル資本主義」は転換点を迎え、従業員や顧客、地球環境など様々な側面に目配りをした「ステークホルダー(利害関係者)資本主義」が主流になるとみられる。

すなわち、多様なステークホルダーが対話を通じて持続可能性の高い価値を創造する、新たな資本主義への移行である。

歴史的にみると、資本主義の発展段階は4つに分けることができる。

第1ステージは、資本が労働より重視された時代である。

18世紀の産業革命を経て資本主義が成立した当初は、資本家の力が強く、労働者は極めて劣悪な労働環境を強いられた。

第2ステージが始まるのは、1833年に英国で「工場法」が成立した頃だ。

この頃から、資本主義は資本家よりも労働者の権利保護を重視する方向へと徐々に舵かじを切っていく。

その後、1970年代末頃から第3ステージに入る。

レーガノミクスやサッチャリズムに代表される「新自由主義」全盛の時代が始まったのだ。

ここでは、資本家の短期的な利益が重視され、労働者は再び厳しい立場に追い込まれた。

そして今後、資本主義は第4ステージに入ると予想される。

それは、「資本(お金)」ではなく、「労働者(ヒト)」こそが付加価値の源泉となる新たな時代だ。

その胎動は着実に生じている。

第1に、最近の「マイナス金利」は世界中でお金が余っていることを意味している。

つまり、資本の価値が大幅に低下しているのである。

第2に、人工知能(AI)の発達も、資本主義に大きな変化をもたらすことになる。

単純労働の多くがAIによって置き換えられることになれば、企業の付加価値の源泉は、労働者の創造性や価値判断能力などに移行するからだ。

②反グローバリズム・ナショナリズムが台頭

感染症にかかった場合、高所得者層は高度医療の恩恵を受けて生命をとりとめるケースが多い。

一方、貧困層の生命は容赦なく奪われかねない。

こうした問題を背景に、社会の分断が加速する。

そして今後、懸念されるのは、反グローバリズム、自国中心主義、ナショナリズムの台頭である。

もともと、新型コロナショックが起きる以前から、その兆しはあった。

先進国では、テクノロジーの進歩による失業の増加、グローバル化による新興国への雇用流出などを背景に、格差の拡大が顕著である。

さらに、自国への移民の流入に対する反感が強いこともあり、反グローバリズムやナショナリズムの台頭が見受けられた。

そこに起きたのが、今回の新型コロナショックだ。事態は極めて深刻だと言わざるを得ない。

歴史を紐ひも解くと、大きな経済危機が起きると、その後、反グローバリズム、自国中心主義、ナショナリズムが台頭する傾向が見受けられる。

1929年に世界大恐慌が起きた後、1933年にドイツではナチスが政権を取った。同年、わが国も国際連盟を脱退し、軍国主義が加速した。

今後は、中国やロシアなどの権威主義国・国家資本主義国の台頭も懸念される。

③「資本主義vs共産主義」の最終戦争へ

米中両国は、新型コロナウイルスをめぐって非難合戦を繰り広げている。

米国のポンペオ国務長官は、「武漢市のウイルス研究所が新型コロナウイルスの発生源だという多くの証拠がある」と主張。これに対し、中国側は強く反発している。

こうした問題は、米中間の貿易摩擦にも飛び火しつつある。中国からの輸入頼みの状況に危機感を感じたトランプ政権は、国内への生産回帰を促進することを検討しており、中国に対して関税の引き上げをちらつかせている。

こうした米中間の対立は、資本主義と共産主義の覇権争いであり、世界が2つの陣営に分断されるブロック経済化の進展が懸念される。

歴史を紐解くと、1929年の世界大恐慌を受けて、世界的に保護主義が加速度的に拡大し、世界の貿易総額は激減した。そして、世界的なブロック経済化が進んだ結果、各国は第2次世界大戦へと突き進んでいくのである。

2008年、中国はリーマン・ショック直後の輸出急減を受け、約4兆元(約57兆円)の大規模な経済対策を打ち、世界経済を反転させた。それ以降、中国の存在感は高まる一方で、今や「共産主義と資本主義の最終決戦か」と囁ささやかれている。

ここでのキーワードは「デジタル専制主義」である。これは、「経歴、嗜好、個人の行動など、あらゆる情報が国家の管理下にあり、データを掌握する者が世界の将来を左右する」状況を意味する。

中国がデジタル専制主義に向かう中、民主主義は意思決定のスピードなどの面で不利なので、中国が覇権を握るとの懸念が強まっている。

④グローバル・サプライチェーンの再構築

ポストコロナの時代には、グローバル・サプライチェーンの大規模な再編が起きるとみられる。

わが国の製造業の海外生産比率は、2017年時点で25.4%と過去最高の水準に達している。

だが、新型コロナショック発生後に、多くの企業が自社のサプライチェーンの実態を正確に把握できていなかったことを反省しているはずだ。

今回の反省を踏まえて、今後は1次下請けだけでなく、2次、3次の下請けくらいまでは、常日頃から把握しようとする動きが強まるだろう。そしてポストコロナ時代のサプライチェーンが、従来とは異なる次元で再構築されることになる。

従来のサプライチェーン構築では、為替レートや労働コストなどの平時の経済的コストだけを考慮しておけばよかった。だが、ポストコロナの時代には、感染症拡大やパンデミックのリスクのみならず、洪水などの気候変動リスク、中国の政治リスクなどを幅広く考慮せねばならない。

この結果、世界中の企業にとって、経営戦略の全面的な洗い替えが必要になるだろう。

⑤不良債権問題の深刻化

近年は、世界的にみて中央銀行が極めて緩和的な金融政策を採ってきた。そのため、金融市場には、不均衡が蓄積している。

行きすぎた金融緩和が長期化すると、過度な債務拡大などの不均衡が蓄積し、臨界点を超えるとバブルが崩壊して金融危機が起きかねない。

現状、世界的に民間企業は借金漬けの状態であり、今後グローバルな過剰債務、過剰設備の調整が起きる可能性がある。

最終的に金融機関に不良債権が積み上がり、リーマン・ショックのような金融システム危機が起きることが懸念される。

⑥財政収支が悪化し、財政政策と金融政策は融合へ

ポストコロナの時代には、「大きな政府」が指向され、財政赤字問題が軒並み深刻化する。歴史的にみても、疫病の拡大は大きな政府につながりやすい。

例えば、19~20世紀にコレラが流行した当時は、世界中で水道の整備など公衆衛生の充実が唱えられ、大きな政府が指向された。

新型コロナショックは人知を超えた天災の色彩が強いため、経済対策も大盤振る舞いで行われる方向に傾きがちとなる。

この結果、政策対応に関する「費用対効果」の検証が甘くなり、財政赤字が野放図に積み上がってしまう。

そこで懸念されるのは、財政政策と金融政策の境目が曖昧になり、両者の融合が進むことだ。

これは、具体的に2つの面で問題を引き起こす。

第1の問題は、中央銀行による事実上の国債引き受け、すなわち「財政ファイナンス」が行われると、財政赤字が際限なく積み上がることだ。

第2の問題は、中央銀行が民間の資源配分にまで関与することである。例えば、「債務超過の民間企業を救済するか否か?」という判断は、最終的には国民の血税を使用する話なので、政府や国会に委ゆだねられるべきである。中央銀行の職員は選挙という民主的な手段で選ばれたわけではないため、本来的には、中央銀行が司つかさどる金融政策が民間企業の救済にまで拡大されるべきではない。

しかし、近年は財政政策が手詰まりになる中、中央銀行は債務超過の企業を事実上救済するような、本来、関与すべきではない領域にまで手を伸ばしつつある。

こうした財政政策と金融政策の融合の動きは、民主主義の原理原則に照らして、厳しくチェックされるべきであり、極めて深刻な事態だといえる。

もし財政政策と金融政策の間に本来あるべき垣根が崩れてしまうと、通貨に対する信任が失われて、金融危機や国債の暴落などを招きかねない。

⑦リモート社会の到来

ポストコロナの時代には、感染症を避けるために、リモート社会(非接触型社会)が指向されるなど、産業構造の激変が起きることが予想される。

「ソサエティ5.0」と言われるテクノロジーを中心とした社会をつくり上げるべく、テレワーク、オンライン診療、インターネット投票などの実現・拡充を期待する声が高まっている。

また、将来的には「スマートシティ」の実現にも大きな期待がかかる。

街中のセンサーやスマートフォンなどを駆使して集めたデータを、AIなどで分析し、エネルギーや交通などの分野を効率化した都市である。

今後は「三密(密閉・密集・密接)」を避けて、非接触型の都市構造をつくることにも配慮が必要となるだろう。

⑧中央集権型から分散型ネットワークへの転換

過去数千年にわたり、人類はあらゆる分野で、中央集権型の仕組みの構築を目指してきた。とりわけ都市への集中を促進することは、人類共通の目標と言っても過言ではなかった。

近年は、都市に様々な機能や人口を高密度で集積するために、高層ビルが建てられた。そのフロントランナーがニューヨークであり、東京なのだ。しかし、こうした都市化の動きが人類にもたらしたのは、感染症への脆ぜいじゃく弱性である。

歴史的にみて、天然痘、ペスト、コレラなどの感染症は、すべて都市化の副産物とも言える。都市部への集積を極限まで追求した高層ビルなどは、「三密を避ける」という観点からは、最悪とも言える環境だ。

ポストコロナの時代には、職場環境や住環境、生活空間を抜本的につくり直す動きが加速することになるだろう。

最近は、全社員がテレワークを行い、本社オフィスを持たない企業すら登場している。テレワークの推進で、無駄な仕事がなくなり生産性が上がるだけでなく、世界中から優秀な人材を採用できるというメリットも期待できるからだ。

他方で、地方には空き家や空きビルなどがいくらでもある。これらの遊休資産を有効活用すれば、地方に人が戻り、過疎化や少子化といった問題を解決する大きな糸口になることが期待される。

すなわち、大袈裟に言えば、新型コロナショックは、人類の文明史の転換点とみることができる。

具体的には、「中央集権型システムの構築」「都市への集中」を目指してきた人類が、歴史上、初めて「分散型ネットワークへの移行」「地方への分散」を目指す方向へと転換するかもしれない。

 

なお、今回の新型コロナショックが一巡すれば、「のど元過ぎれば熱さを忘れる」ということで、大きな構造変化は起きないとみる向きもある。その理由として、14世紀に拡大したペストでは欧州の総人口の3分の1程度が亡くなったのと比べて、今回は死亡者数がそこまで増えないとみられる点が指摘される。だが、筆者はそう考えていない。

人口と経済活動が概おおむね比例的に動いた中世とは異なり、現代では、仮に死亡者数の増加による人口減が限定的でも、感染症の拡大により経済活動は壊滅的な打撃を受ける。グローバル化が進み、各分野・地域の経済が極めて密接に結合したためである。

人間の既成概念とは、案外もろいものだ。筆者は、近い将来、テレワークや遠隔診療などが当たり前となり、かつて多くの会社員が満員電車に揺られて職場に通勤していたことが、昭和・平成の日常の1コマとして日本史の教科書に載る日が来ると確信している。

さいごに

当記事を書かせていただきました、長谷川と申します。

私は大阪、神戸、京都でライフシフトサロン読書会を開催しております。

読書会のいいところは、SNSでつながる時代に、リアルな居場所を持てるということ。

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ポストコロナの学び直し

社会人3年目、25歳になったあなたへ。

ちょっと想像してみてください。
今から5年後、30歳のあなたは、
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きっと30歳のあなたも想像した自分と違っているかもしれません。

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